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2024.04.26 update.
#新築住宅
「パッシブハウス」で後悔しない家づくりをするには?|徳島で快適に暮らすコツを解説
省エネ住宅と言えば、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や低炭素住宅が代表的ですが、パッシブハウスもそのひとつです。
パッシブハウスとは、できるだけ冷暖房設備に頼り切らずに自然エネルギーを活かして、一年を通して快適な室内環境を実現する、ドイツ生まれの超省エネ基準を標榜する住宅を言います。
とは言え、業界内では注目されていても国内の一般の方々、ましてや徳島県内でも馴染みが薄いのは否めません。
そこで今回は、徳島県という北部と南部で気候に違いがある地域にこそフィットするのではないかと考えている、パッシブハウスについて紹介を兼ねて解説します。
【目次】
【快適に暮らすためのパッシブハウスとは】
住まいにおける快適さを求めるなら、パッシブハウスは一考の価値ありです。
改めて、パッシブハウスとは何なのか、定義や基準はどうなっているのかについて、まずはお伝えすることにします。
聞き慣れない用語や具体的な数字が出できますが、参考までにご覧ください。
パッシブハウスとは何か
パッシブハウス・ジャパン(※1)の公式サイトでは、
「断熱材や、高性能な窓、熱を逃さない換気システムを導入して、徹底的に熱を逃がさないよう工夫」された住宅です。
具体的には1991年、ドイツの物理学者であるヴォルフガング・ファイスト博士が発案・開発し、同博士が設立したパッシブハウス研究所で確立された基準を満たすことが前提となっています。
その基準とは、以下の3つです。
- 一次エネルギー(※1)消費量:120kWh/㎡以下
- 気密性能:50Pa加圧時の漏気回数0.6回以下(C値換算0.2c㎡/㎡以下)
- 冷暖房負荷:それぞれ15kWh/㎡以下
パッシブハウスとして認定されるためには、これらの基準をクリアし、パッシブハウス・ジャパンの審査を経ることが求められます。
※1一次エネルギー…石油や天然ガス、石炭、水力、電力など自然から直接採取できるエネルギーのこと
パッシブハウスの特徴
パッシブハウスの特徴は、
- 高断熱
- 高気密
- 複層窓
- 計算されつくした庇(ひさし)
- 熱交換換気システム
が設計のベースとなっていることです。
具体的には、冬は南側の窓から太陽光を取り入れて暖房代わりとし、夏は北側に設けた窓から熱を逃がして過ごしやすくするというのが、パッシブハウスの考え方です。
一方、比較対象として挙げられやすいZEHは、太陽光発電システムを利用した創エネと高い省エネ基準で、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロ、もしくはプラスにして売電も可能にする住宅を指します。
- パッシブハウス
省エネ性能を極限まで高め、エネルギー消費を最小限に抑える - ZEH
創エネと省エネによって、エネルギー消費実質ゼロを目指す
パッシブハウスは名称のとおり、能動的なエネルギーを極力使わずに、できるだけ燃費良く快適な室内環境を保つことを目指しています。
【メリット・デメリット】
パッシブハウスにおいては、光熱費の節約や一年を通しての快適な室内環境の維持が期待できますし、太陽光発電などの自家発電設備を導入しないため、コスト面での優位性も予想されます。
一方、建築コストや設計・施工の難易度など、不動産情報サイトなどでは情報が取れない部分についても、非常に気になるところです。
パッシブハウスのメリット
パッシブハウスのメリットとしては、
- 年中快適な環境で過ごせる
- 光熱費を抑えることができる
- ヒートショックのリスクを減らせる
- 建物の寿命が延びる
といった点が挙げられます。
まず、年中快適な環境で過ごせる大きなポイントとしては、熱交換換気システムであり、夏は涼しく、冬は暖かい環境を維持する主力設備です。
さらに高気密・高断熱を実現していますから、エアコンの使用機会が低減します。ゆえに、必然的に光熱費の節約に繋がりますし、室温差も小さくできるため、ヒートショックのリスクも軽減可能です。
ヒートショックは高齢者に発症しやすい傾向で、東京都健康長寿医療センター研究所の調査(2011年)では、約17,000人が亡くなったと推計しています。(※2)
体調不良やストレスなどにより若年層にも発生してしまうリスクは十分にあるため注意が必要です。
ヒートショックのリスクを低減は健康寿命の延長が期待でき、寿命に関しては、建物の寿命が延びるのもパッシブハウスのメリットのひとつです。
高い気密性と断熱性によって、壁内結露によるカビの発生、躯体の腐食など建物の劣化が抑えられ、長く使用できる傾向があります。
パッシブハウスのデメリット
一方で、パッシブハウスのデメリットは、
- 価格が上がる
- 設計や建築の技術が必要
という点です。
パッシブハウスは、求められる基準をクリアするために、高性能な断熱材や気密性を高くするための建材選定、緻密な施工管理などで、初期費用は高くなってしまいます。
同時に高度な設計や建築の技術を必要とするため、実績を持つ専門家(建築士)の監修や関与が必須です。
ゆえに、ハード面とソフト面の両方でのコストアップが懸念されます。
ただし、長期的な観点から言えば、光熱費の削減効果、建物の長寿命化、さらには資産価値などを考慮すれば、コストパフォーマンスは決して悪くないと言えます。
【パッシブハウスの家づくりのポイント】
パッシブハウスの建築上のポイントは、
- 庇(ひさし)や軒
- 窓
- 換気
- 気密性・断熱性
の工夫が挙げられます。
では、その工夫とはどういったものなのか、それぞれ少し具体的に述べることにします。
庇や軒を工夫する
パッシブハウスでは、冬季は南側の窓からの太陽光を取り入れ、建物内部の空間を暖めるといった仕様が基本です。
一方、夏季は過剰な日射を遮るよう、庇や軒の設計が鍵となります。
つまり窓の位置、大きさ、庇の突出し長さなどを設計段階で最適化することで、年間を通して日射のコントロールを可能にするのが、パッシブハウスとも言えます。
地域ごとの気候条件を加味して、建物の方位、窓の配置などを考慮しながら、デザインする経験やノウハウが求められます。
窓を工夫する
窓の性能を高めて熱の出入りを最小限に抑えるため、パッシブハウスでは多層窓を採用します。
ペアガラス、あるいは三層ガラスで、Low-Eガラス(金属膜でコーティングされた窓)を組み合わせた高性能の窓と、気密性の高いサッシが選ばれます。
また、窓の配置や面積については、南側面に大開口部を設けることで冬季の日射取得を促進し、東側や西側は小さめにして夏季の日射を遮るのが効果的です。
窓は最も熱の出入りが大きいため、窓の性能と配置を最適化することが快適な室内環境を実現することになり、エネルギー消費の低減にも繋がります。
換気を工夫する
パッシブハウスは、高気密が売りですから外気との遮断性が高くなり、換気が非常に重要です。
居室内を漂う「ニオイ」「水分(水蒸気)」「CO2」などを含んだ空気を、熱交換換気システムでは熱を残したまま排出し、外気から取り入れた空気と交換します。
その際は、蓄えた熱も一緒に室内に取り込むので、温度差をあまり感じずに空気の入れ替えが完了します。
仮に熱交換換気システムが無ければ、窓の開閉による空気の入れ替えです。
冬はやりたくないですし、一気に室内温度が下がるとエアコンを強めることにもなりかねませんから、非効率で無駄にエネルギーを費やすことになります。
気密性・断熱性を工夫する
建物全体の気密性と断熱性を高めることは、パッシブハウスの基本的な要件です。
高性能な断熱材の使用や、断熱施工の品質管理など、細部にわたる配慮が必要となります。
気密性能はC値換算で0.2c㎡/㎡以下という基準がありますから、窓、サッシ、外壁、屋根などの隙間も徹底的に塞ぎ、高い気密性を実現しなければなりません。
気密試験なども実施することになるでしょうから、ハウスメーカーや設計事務所選びは実績を重視することをおすすめします。
もちろん弊社ヤマジホームへのご相談もお待ちしています。
【徳島の気候に合わせたパッシブハウスとは】
徳島県の北部は温暖な瀬戸内気候、南部は典型的な太平洋気候であると、気象庁の公式サイトには書かれています。
ゆえにパッシブハウスの建築には、徳島県内部においては、地域ごと、さらには立地ごとの気候特性に適した設計や工法が不可欠です。
自然や風土を生かした家づくり
そもそもパッシブハウスは、地域の自然環境や風土を最大限に活用することで、その性能や特徴が発揮されます。
徳島県は南北で気候が大きく異なるため、地域だけでなく個々の立地を加味した日射の角度、風向き、風速などを含めた換気設計は、もはやオーダーメイドと言えます。
パッシブハウスでは建物の構造が注目されがちですが、土台となる土地選びから、専門家の意見を参考にすると良いです。
徳島県の北部の気候
徳島県の北部は、典型的な瀬戸内気候に属し、温暖で全国的に見て少雨地域という特徴があります。
具体的には、平均気温約16度、年間平均降水量約1,000~1,600mmですが、剣山(つるぎさん)の北側では、1000mm以下になるケースもあります。(※3)
徳島市内においては年間を通して温暖で過ごしやすく、日照量も多いことから、太陽光を味方につけるパッシプハウスには適している立地と言えそうです。
徳島県の南部の気候
一方、南部は典型的な太平洋気候に属して、四国山地の南東斜面を中心とした山地は、 日本でも有数の多雨地域になっています。
梅雨時期や台風シーズンは記録的な降水量を記録することもあり、前述の剣山の南側においては、4000mm以上(※4)になることも想定しなければなりません。
パッシブハウスの設計においては、雨や台風に対する対策を重点に置くことになると考えます。
【パッシブハウスが気になる方へ】
パッシブハウスは、快適な室内環境と省エネの両立を実現できる、これから注目に値する住宅です。
建物の長寿命化にもつながるなど、長期的な視点からみても大きなメリットがありますが、専門的な知識と技術が必要となるため、一般の住宅に比べてコストがかかるのが課題となっています。
さらに地域の気候特性を踏まえた設計を行い、高度な施工管理を行う必要もあるため、パッシブハウスで快適な家づくりを希望される方はお気軽にご相談ください。
参照
※1.パッシブハウス・ジャパン
https://passivehouse-japan.org/
※2.地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター「冬場の住居内の温度管理と健康について」
https://www.tmghig.jp/research/release/cms_upload/press_20131202.pdf
※3.環境省_せとうちネット:気象
https://www.env.go.jp/water/heisa/heisa_net/setouchiNet/seto/g2/g2cat01/kishou/index.html
※4.徳島地方気象台>徳島県の天気の特徴
https://www.data.jma.go.jp/tokushima/shosai/tokucho/tokusei.html
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